アーキテイメントが提供する照明制御とクラウドサービスをご紹介いたします。
制御に関する基礎知識
照明制御の主な種類
照明で表現したいイメージにあわせて、照明制御の方法を選択します。
求める照明の表現イメージ | 静的:スタティック照明 | 動的:ダイナミック照明 |
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照明制御方法 | ■アナログ調光 ・位相/逆位相、調光 ・PWM調光 ・0-10V、1-10V調光 ■デジタル調光 ・DALI ・EcoSystem ・Dynalite ・Lumentalk(信号はDMX512) ■デジタル無線調光 ・Cognitive Light | ■デジタル調光 ・DMX512 ■デジタル調光(イーサネット) ・Art-Net ・sACN ・KiNET |
アナログ制御とデジタル制御の比較
アナログ制御とデジタル制御には以下の違いがあります。
アナログ制御 | デジタル制御 | |
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方式 | ・位相/逆位相、調光 ・PWM調光 ・0-10V、1-10V調光 | ・DALI ・EcoSystem ・DMX512、Art-Net、KiNET |
特徴 | ・配線1系統の照明器具が同一の調光率になる (同一配線上で複数のゾーンは持てない) | ・配線1系統で個別に調光率の設定ができる ・1%以下の細かい調光調整ができる |
メリット | ・照明器具の電源管理をするため、安全面と省エネに貢献 ・不具合発生時に原因が目視、測定などで発見しやすい | ・照明器具の追加、変更時でもプログラム設定で対応ができる ・不具合地にPCから不具合箇所の特定ができる |
デメリット | ・回路数が多いほどハードウェアの金額が上がる ・回路変更が発生した場合は配線工事(電気工事業者)が伴う | ・プログラム作業が発生し設定に時間かかる ・調光方式や器具仕様により配線ルール、チャンルのカウント方法に違いがあるためシステム構成が複雑 |
デジタル制御
DMX512信号とは
DMX512とは「Digital Multiplex with 512 pieces of Information」の略称です。
照明器具の調光や調色などの制御を行うための通信規格です。
- デジタル信号(RS485)の中の一種です。
- 1秒間に最大43回(43fps)、256階調の調光情報を512chまで送ることができます。
- 1系統512chの信号を単位として「ユニバース」と呼びます。
- 機材の接続はデイジーチェーンで行い、分岐が必要な場合はDMXスプリッターが必要です。
- 通常は256階調(8bt)で制御を行いますが、機材によっては65536階調(16bt)で制御を行うことも可能です。
- 最大配線長はLANケーブル(Cat5e)の場合は100m、DMXケーブルを使用する場合は400m(理論値)となります。
DMXの拡張規格「RDM」
今まで照明機材への送信のみ(一方通行)だったDMXですが、 DMXのプロトコルを利用して双方向通信を可能にしたRDM(Remote Device Management )が登場し、使用する配線はそのままで照明機材の情報を受け取ったり、設定を行うことが可能となりました。
- 照明機材の設定(アドレス、制御方式8bit/16bitの切り替えなど)
- 照明機材の状態監視(温度、使用時間、消費電力など)
eDMXとは
eDMXは、DMXの利便性と拡張性を向上させるために作られた規格。
イーサネットを利用してDMX(RDM)を送受信します。
eDMXには複数の規格が存在します。主に利用されているのは「Art-Net」「sACN」「KiNET」などです。
- 1ユニバースで送信できるチャンネルの数は最大512ch。DMXと共通です。
- イーサネットを利用するため、複数のユニバースへの信号を1本のケーブルで送ることが可能です。
- 分岐が必要な場合はスイッチングHUBを利用し、スプリッターは使用できません。
- 最大配線長は100mまでですが、光ケーブルを活用することで数キロの配線も可能です。
Art-Net
Art-NetはUDP/IPを使用し、DMXやRDMの信号を伝送する規格です。
Artistic License社が提供しており、条件を満たすとライセンスフリーで使用可能です。
プロトコルのバージョンにより異なりますが、最大で32768ユニバースにデータを送信可能です。
sACN
DMXデータをUDP/IPで伝送するためのオープン仕様のプロトコルの1つです。
sACN独自の機能としてはマルチキャスト方式の通信が利用できることが挙げられます。
KiNET
Color Kinetics(カラーキネティクス)社が開発した独自のeDMXプロトコル。詳細な仕様などは公開されていません。
基本的にColor Kinetics(Signify)製品専用にて使用。他社製品とのマッチングはできません。
他社製品も含めてKiNETで一括制御する場合は、KiNETをDMXに変換して対応します。
DMXのワイヤレス化
通常のDMXで難しかった配線の制限も、無線技術の発達によりワイヤレス化が行えるようになりました。
有線での施工が難しい場合に利用します。
例: 文化財保護のため新規に配線ができない
制御エリアが広く、物理配線が難しい
配線ルートに川や道路があり、ケーブルを渡せない
どの方式の場合も、送信機と受信機を見通せる位置関係に設置する必要があります。
DMXワイヤレス
DMXワイヤレスは、Lumen Radioに代表されるDMX信号をそのままワイヤレスで送受信する機器の総称です。
到達距離の目安は100m。
遮蔽物(壁、樹木など)があると電波強度が低下するため、中継機能を活用したシステム設計が必要です。
コグニティブライトシステム
免許不要で制限の少ない920Mhz帯を使用することで通信距離が長いことが特徴です。
子機間で自動的に最適な中継経路を作成する機能があり、広範囲に制御信号を届けることが可能です。
通信速度に制限があるため(6秒に1回送信、DMXは256chまで)、動的な演出には注意が必要です。
Wi-Fi
eDMXはイーサネットを利用しているため、Wi-Fiを利用することが可能です。
照明制御の専用機器は存在せず、業務用のWi-Fiアクセスポイントなどを活用します。
到達距離は100m〜300m。
メッシュネットワークや長距離伝送タイプの機材を活用すると制御範囲を拡張可能です。
広範囲で動的な演出を行う場合に使用します。
Lumentalkとは
Lumenpluse社により開発された電源線(2芯)で電源と信号を送ることができるシステムです。
既設の配線を活用して照明制御ができ、施工コストを大幅に削減できます。
通信距離が長いことが特徴。
ただし、1系統で送信できるのは最大48ch。動的な演出をする場合には注意が必要です。
電源品質や外部ノイズの影響を受けやすいため、十分な現地確認とテストが重要です。
クラウドサービス
Architainment Cloudの概要と機能
アーキテイメントが提供する照明制御・管理のクラウドサービスです。
イギリス にて開発、運営されています。
提供しているのは英語版のみです(2023年12月現在)。
主な用途
操作画面
Interact Landmark(Content App)の概要と機能
Signifyが提供する照明制御・管理のクラウドサービスです。
Signify製の照明コントローラー「LSM」と「iPlayer4」専用のサービスとなっています。
主な用途
- 演出の呼び出し、お好みの色を設定
- 再生中の演出を確認
- コントローラー内のスケジュールデータの確認 ・演出データのリモート更新
操作画面
Interact Landmark(Monitor App)
Signify社が提供する照明機材の監視・管理のクラウドサービスです。
専用のハードウェア「Landmark Gateway」が別途必要です。
管理できる照明はColor Kinetics(カラーキネティクス)とSignify製品のみとなります。
主な機能
- 照明機材の状態を指定時刻にスキャンしてレポートを作成、メールで通知
- 「LSM」「iPlayer4」「Pharos製品」と連携して演出スケジュールの設定
- 照明機材の詳細情報(使用時間、温度、通信状態など)を確認